2016年6月20日月曜日

楽園の落とし穴。。恐怖の強制立ち退き


二年前、まだ私がここに来たばかりで
事情がよく分かっていなかったある日のこと、


スタッフたちが泣きながら朝、出社してきて

「たくさんのホテルが
強制立ち退きされてる!!!」といいました。



強制立ち退き???


話を聞くとトゥルムの土地の権利というのは
非常に複雑なんですね・・


もともとトゥルムの土地というのは
誰のものでもなかったわけです。


で、ある時から国が
少しずつ住んでいる人に分け与えて

ここまでは○○さんの土地
ここまでは△△さんの土地

というように、名前をつけて行ったわけです。
それもタダで。。。


1960年代とかは


「土地をあげるから、
欲しい人は名前を書きにきてくださーい!」


と、まるで豆腐か納豆を売るように
自転車で走りながら呼び掛けていたそうです。



というわけで
その当時の登記がしっかりしていなくて
二重、三重に分配されてたりするらしいんです。


だから、ある地主さんから買った後に


「俺が本当の持ち主だ!」と


別のオーナーが現れたりするわけです。



二年前に起きた強制立ち退きは
本当に突然で

朝6時に、たくさんの地上げ屋と
引っ越しトラックがホテルの前にやってきて


裁判所から得た「強制撤去許可」の紙を振りかざしながら
一瞬にして
建物の中にあるすべてのものを
道路に放り出したのでした。


ホテルのオーナーも、
働いているスタッフも、
泣きながら「辞めてくれ!!」と叫びましたが
もちろん、そんなことはお構いなし。



「君たちのホテルが
この土地を不法占拠しているんだ!
本当の土地の持ち主が裁判所からこの許可を得ている以上
君たちには、ここにとどまる権利は何もない。。。。」


とのこと。



不憫だったのは
そこに泊まっていた宿泊客・・・・


せっかくバケーションに来ていたというのに
朝早くからたたき起こされて
別のホテルに移動させられてしまったのです。


当時6件のホテルが
「ホンモノのオーナー」と称する人に
強制撤去され、この事件は、
ビーチにホテルをもつオーナーたちに
衝撃を与えました。


シャンバラも、もちろん例外ではありません。

シャンバラのオーナーは
その日から、
自分の土地の権利が一体どうなっているのかを
詳しく調べ初め
弁護士などといろんな連携を深めていきました。


そして、最終的に
シャンバラも、他のオーナーが
正式な書類を持っていることがわかり
そのオーナーと
交渉をしなければいけなくなったのです。


どんな交渉をしたのか、私は詳しく知りませんが
でも、本当にいろいろあったようで
何度も、オーナーはボロボロになっていました。

それでも果敢に立ち向かい
今年に入ったある日

「これでもう心配ない。。。」と言ってきました。


相手がしぶとくて
相当に困難な交渉だったようですが
何とかまとまったのだそうです。



オーナーは、
他のホテルのオーナーとも連携していたので
私はこの一帯の人みんなが
すでに交渉を終えていたんだと思っていました。


が、しかし。。。。


事件は再び起きました。


メキシコ時間で6月17日の朝・・・


7時半に到着したスタッフが
恐怖に固まった顔で私のところにやってきて


「たいへんだ!またやられてる!!!!
すごい数の人たちが
強制撤去に来た!!!」


というではありませんか!


外を見ると
シャンバラを除いて
周りのホテル全部の前に
棒やマチェーテと呼ばれるナタを
持った何十人もの男たちが
立っているではありませんか!


異常事態です!!


そして、今、オーナーはバケーション。。。。汗


オーナーに連絡を取ってみますが
全く反応なし。。。
そりゃそうですよね~
バケーションだし。。。


仕方がないので
万が一、変な人たちが来たら電話するように言われている
弁護士のところに連絡すると


すでに何が起きるか知っていたかのようで

「周りのホテルは強制立ち退きさせられるけど
シャンバラは大丈夫だから、心配しないで」

と言われました。


みんなで、表のドアをしっかり閉めて
息をひそめていると


罵声や人と人がぶつかり合う音など
まるでここは戦場?と言いたくなるような
いろんな音が聞こえてきます。


とくに、隣のヒッピーホテルUNOは
たくさんの長期滞在者がいるので
彼ら全員が立ち上がって、表のゲートを閉め
激しく抵抗しました。


すると、外にいた地上げ屋たちは
斧やマチェーテを使って木の扉を壊し
中に突入したのです・・・


まるで、インディアン襲撃の映画を
見ているかのようでした。


これから激しい攻防戦が???と思っていたところに
急にものすごい嵐がやってきました。

びっくりするぐらいの強風に
びっくりするぐらいの雨・・・・


まるでトゥルムの土地自体が
このバカバカしい汚職に怒り狂っているかのように。。。。


雨のおかげで
全員が少しトーンダウンし
静かに撤去が始まりました。


といっても、
撤去の時間をあまり与えてもらえなかったので
相当急いだらしく


立ち退きが終わった後のホテルは
まるでハリケーンが通った後・・・みたいになりました。


あとからいろいろとニュースを見たところ

結果的に
シャンバラの両隣、18件のホテルと個人の家が
強制立ち退きさせられ
すべての持ち物を撤去させられました。

そして、あとに残ったのは
斧を持った男たち。。。。

ホテルの人たちが再び中に入って占拠しないよう
見張っているのです。



スタッフたちは
「シャンバラにも来る???」とびくびくしていましたが
結果的にシャンバラには来ませんでした。


そしてやっと連絡が取れたオーナーに聞いたところ
自分は、彼らとの交渉に応じたけど
応じなかったオーナーのホテルは
強制的に立ち退きになった。
とても悲しいけど仕方がない。。。と言っていました。



さすがメキシコ。。。。


土地買いたいと思うけど
やっぱり、こういうのはすごく怖いですよね。。。。



どんだけ正当な書類を持っていたって
上の人たちはお金をもらったら
どうとでも書類を作ってくれちゃうわけで
何の保険にもならないわけです。


とくに、トゥルムのビーチの土地は
とても魅力的で利用価値があるわけですから
そういう悪い人に狙われちゃうんですね。。。


「これが楽園の裏側だよ」とオーナーは言っていましたが
いや、楽園をキープするのは
大変なことです。本当に。。。。


というわけで、今、シャンバラは
両隣ガラーンと誰もいない状態で
ぽつんと、陸の孤島のように残っています。


なんとか、再度交渉して
みんなが戻ってきてくれるといいんですけど。。。。





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